睡眠時無呼吸症候群の検査と
治療に対応
Sleep Apnea Syndrome
寝ている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群は、眠りが浅くなることで活動時間に眠くなるだけではなく、心臓や血管、脳などにも負担が生じます。早期発見が大切であり、症状に合わせた適切な治療を行う必要がございます。睡眠時無呼吸症候群か判別する簡易検査を行っており、度合いに応じた治療法をご提案します。睡眠の質を向上して、生活の質も高められるようにサポートいたします。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群でみられる主な症状
- 就寝時:いびきがひどい、呼吸が止まる・むせる、息苦しさを感じる、寝相が悪い、寝汗をよくかく
- 起床時:頭が痛い、口が乾いている、いくら寝ても疲れがとれない、熟睡感がない、身体が重く感じる
- 日中:強い眠気、だるさ・倦怠感、集中力の低下、記憶力の低下、いつも疲れている、居眠りで支障をきたす(自動車の運転で事故を起こしそうになるなど)
睡眠時無呼吸症候群の検査
検査はご自宅でできる簡易検査と、専門の医療機関に一泊して行う精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG検査)があります。簡易検査は手指や鼻下にセンサーを装着し、睡眠中の呼吸などを調べます。精密検査は脳波計や心電計などを用いて行う詳細な検査です。簡易検査は重症度の睡眠時無呼吸症候群の発見に有効ですが、軽症度や中等度の発見には精度の面で精密検査が適しております。手術の適応なども精密検査で判断します。
当院では、まずはご自宅で寝ている間に検査ができる簡易検査を行います。いつも通り寝ていただく時に検査機器を装着していただくだけで良いので、寝返りを打ったり、起き上がったりすることは問題なく、通常の生活を送りながら行うことができます。保険適応の検査であり、この検査の保険点数は720点であるため3割負担の方は2,160円、1割負担の方は720円になります(検査自体の費用です)。
症状の程度や原因に応じた治療法
肥満の方は、体重を減らすことでいびきを軽減することが期待できます。また、アレルギー性鼻炎がある方は、その治療でも同じく改善が期待できます。睡眠時無呼吸症候群自身体の治療には対症療法と根治療法があり、症状の程度や原因に応じて選択します。代表的な対症療法には、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とマウスピース療法があります。
- CPAP(シーパップ)療法
Continuous Positive Airway Pressure(経鼻的持続陽圧呼吸療法)の頭文字をとってCPAP療法と呼びます。この治療は、中等度から重症度に有効な方法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療いたします。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。 - マウスピース療法
マウスピース療法は軽症度に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。 - 根治療法
原因が肥満の場合は減量が根治療法であり、対症療法を組み合わせて進めます。減量のための食事・運動についての助言や、漢方などのサポートを含めて助言いたします。あごの小ささが原因であったり、特にお子さんに多く見られる扁桃肥大が原因の場合は、手術が根治療法となります。鼻疾患を有している場合、マウスピースやCPAP療法で十分な効果が得られないことがあります。このような場合も手術が検討されます。
このほかに、口呼吸の予防・治療に有効な口腔筋機能療法や、寝る向きを矯正する体位療法などが有効なこともあります。
循環器疾患と閉塞性睡眠時無呼吸症候群の関連性
睡眠時無呼吸症候群は大きく分けて2種類あります。一つは、呼吸運動は保たれているものの、上気道のどこかの閉塞によって、鼻・口の気流が停止する「閉塞性」の睡眠時無呼吸です。もう一つは呼吸運動そのものが停止する「中枢性」の睡眠時無呼吸です。「閉塞性」は世界的にも有病率が高く、様々な循環器疾患と関連することがわかっています。
- 高血圧と閉塞性睡眠時無呼吸
閉塞性睡眠時無呼吸(以下、閉塞性)は、高血圧の原因になる可能性があり、閉塞性の患者さんの半数に高血圧が認められ、高血圧患者さんの3割に閉塞性が認められるという報告もあります。また、薬物治療に抵抗性のある高血圧症に、閉塞性が隠れている可能性も指摘されています。 - 心不全と閉塞性睡眠時無呼吸
閉塞性は心臓に負担がかかり、心機能を低下させる可能性があります。心不全患者さんに閉塞性が合併しやすいことや、閉塞性を合併している心不全患者さんでは、閉塞性を治療しない場合、死亡率が格段に高まるという報告もあります。 - 脳卒中と閉塞性睡眠時無呼吸
閉塞性は脳卒中の発症リスクが高まるとされています。とくに50歳以上では、脳卒中および死亡リスクが閉塞性でない方の約2倍という報告もあります。 - 不整脈と閉塞性睡眠時無呼吸
閉塞性は不整脈を合併することが多く、無呼吸の増加や低酸素血症の悪化に伴い、合併頻度も高まります。とくに夜間の不整脈は、半数近くの閉塞性患者さんに認められ、重症度では、その発症リスクが2〜4倍に高まるとされています。 - 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)と閉塞性睡眠時無呼吸
冠動脈疾患を有する方が閉塞性を合併する率は、冠動脈疾患のない方の約2倍といわれています。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は様々な健康問題を引き起こす可能性がありますが、早期の診断と適切な治療により管理できる疾患です。当院では皆様の健康と生活の質を向上させるために、専門的なケアをご提供しております。診察やご相談はお気軽に話しにご来院ください。